ビジョン=理念を叶える為の将来像
経営理念の次はビジョンです。ビジョンとはその企業が掲げる経営理念(存在意義)を成し得るための将来像や表明です。理念とビジョンを合わせている考えの企業もありますが、具体的な将来像を設定することで、より社員やステークホルダーが目指すべき未来を見えやすくすることがビジョンの意味だと考えます。
例えばニトリを見てみましょう。
ニトリ
企業理念(ロマン)=住まいの豊かさを人々に提供する
ニトリのビジョン(30年)=3,000店舗 売上3兆円
参照:企業理念|会社情報|ニトリ公式企業サイト (nitori.co.jp)
住まいの豊かさを人々に提供する為にニトリという企業は世に存在しています。
そしてより多くの人々に「住まいの豊かさ」を提供し続けるために、30年間で世界中に3,000の店舗と売上高3兆円をあげる企業になるという将来像を描いています。
続いてLINEのビジョンを紹介します。
LINE株式会社はLOSING THE DISTANCEという企業理念を掲げています。
LINEの企業理念=LOSING THE DISTANCE
世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めること
LINEのビジョン=Life on LINE
24時間365日生活のすべてを支えるライフインフラになること
参照:LINEの企業理念 | 会社情報 | LINE株式会社 (linecorp.com)
LINEは売上高等の数値目標ではなく「24時間365日」「生活のすべて」を支えようとしています。様々なサービスが発信されていますが、すべてこのLife on LINEというビジョンに基づいているのですね。
経営戦略とはービジョンを達成するために立てる
続いての階層は経営戦略です。
経営戦略は企業が外部環境にうまく適応していきながら掲げるビジョンを達成するために作成をする必要があります。
先のニトリをもう一度例に考えてみます。
ニトリは30年間で店舗数を3,000店舗 売上を3兆円にするビジョンを掲げています。
しかし30年という月日で市場を取り巻く環境は大きく大きく変化をしていきます。
例えば今やスマホのボタン一つで簡単に買物をできますが、2003年当時は商品を実際に見もせずに買い物をするなんて信じられないことでした。大規模な震災が起こるなんて当時は想像もしなかった筈です。一年中マスクを着けていなければならない世の中になるなんて、つい数年前ですら考えもしませんでした。
基本的にビジョンは不変です。それに対して経営戦略は様々な環境の変化に応じて柔軟に経営戦略を作成しながら成長をしていきます。もし、30年前と戦略を変えていなかったらとしたら…きっとニトリのような大企業ですら今存在することはないでしょう。
三国志に例えると分かりやすい(かもしれない)
私がこのピラミッドを意識するとき、よく想像するのは三国志です。
主人公の一人である劉備玄徳は、度重なる天災や反乱により弱体化しきった漢王室を再興させようと決意し立ち上がります。この漢王朝の再興こそ、企業でいうところの「経営理念」ですね。
まもなく関羽、張飛という勇猛な武将と出会い、かの有名な桃園の誓いをします。
「我ら劉備、関羽、張飛の三人。名は異とするといえども義兄弟の誓いを結ぶからには心を一つにし、上は漢朝の恩に報い、下は民草を安らかにすることを宣言する。~我ら三名、生まれた日は違えども願わくば同じ年、同じ月、同じ日に死なん!」
う~ん格好良いですね!
漢王朝を再興させるという目的を果たすためには、
①漢朝廷に恩返しをしよう ②民衆が安らかに暮らせる世にしよう と誓った訳です。
これが企業でいうところの「ビジョン」ではないでしょうか?
そして、このビジョンに基づき戦いを繰り返していく訳ですが、
曹操が勢力を拡大したり、孫堅が病で倒れたり、呂布が恐ろしく強かったりと外部環境は刻々と変化していきます。そんな中、行き当たりばったりの行動を繰り返していて成果を上げ切れていない劉備達が頼ったのが、諸葛亮孔明です。
諸葛亮孔明はこの国を平定するために「天下三分の計」を策略します。
漢王朝を復興させるためにも、まずはこの乱世を三つ国で治めようという戦略です。
この天下三分の計こそ、いわゆる「経営戦略」であると思います。
この戦略に基づいて、時には曹操と協力したり、時には孫権軍と同盟を結んでみたり、西側諸国を制圧したりと躍進を遂げていくわけですが、これは次の「事業戦略」にあたる階層になると思います。事業戦略は劉備に仕える有能な武将達が実行をしていきます。更にその武将たちが考え、指示を出すと小部隊が動きだします。物語の本筋からは見えにくい小兵達が奮起しなければ大事を成し得ることは出来ないですね。この小部隊の戦い方が「機能戦略」になるのではないでしょうか。
次回は「事業戦略」と「機能戦略」です
例え話を書き始めると筆が止まらなくなりますね。
先走りましたが、次は下の階層「事業戦略」と「機能戦略」について説明をしていきたいと思います。